hamさんのひとり言。

昔の話、今の話、自由に綴る波乱万丈の我が人生。

カテゴリ: 古い航海日誌 佐賀関丸

清峰丸 006
南太平洋の「天国に一番近い島」ニューカレドニアからニッケル鉱を満載した本船は順調な航海を続け赤道を通過しグアム島のはるか西方海上を佐賀関に向けて航行中だ。今日から入港書類の作成に取り掛かる、午後のワッチ(当直)の時に珍しく司厨部のオヤジさん(コックさん)がやってきた、オヤジさん珍しいですね!すると、次席さん交代電報は未だきませんかね?との事、オヤジさんは今航休暇下船の予定だ、本来なら今日あたり交代電報が来る頃だが佐賀関で6名の乗組員が交代予定だが。もう少しで銚子無線局/JCSの一括呼び出しがあるんで、たまにはお茶でも飲んでいってください、、船内時間は日本時間より30分ほど進んでいるが日本時間13:00の銚子無線局の一括呼び出しで本船(JKST)が呼ばれた、本船に電報がありますね、、(写真は清峰丸/JENU)。この航路は日本との通信は比較的に楽だね、16MhzでJCSと交信するとQTC2ときた(電報が2通)、電報を受信すると1通は交代電報だ。オヤジさん、〇〇さんが交代で乗船しますが未だキャプテンに渡していないんで内容は内緒にしておいてくださいね、、もう一通は海務課からの電報だ。
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佐賀関丸
佐賀関丸/JKSTに乗船して2航海目の積み地での荷役が終わり本船は佐賀関に向け順調に航海を続けソロモン諸島のガダルカナル島沖を航行していた。午後の当直もそろそろ終わりだ、今日の夕食は何だろうなー? と、その時だ、ボーン!本船の前の方から強烈な音がした、何だ??何かと衝突したなー?直ぐにポールド(窓)を覗くがそれらしき船などの姿は見当たらない、直ぐにブリッジ(船橋)に駆け上って行きセコンドオフィサーに、何ですかね、今の音、鯨とでも衝突したんですかね解らんのだよ、鯨らしき物体も見てないし音の割には衝突のような衝撃はないしね、、食事中だったキャプテン、チョフサーもブリッジに上がってきた。この海域は水深は深いし何か沈船でもひっかけたのかなー、、キャプテンが、念のため船を止めて点検をしよう、と言うことになった。甲板部の乗組員が集まり救命艇を降ろして船体を一周して点検をしたが目視できる範囲では異常はないことが分かった。現場海域に2時間ほどとどまり佐賀関に向けて航海を始めた。
夕食を済ませて夜のワッチ(当直)でファクシミリでJJCを受信していると速報で「南太平洋のソロモン諸島沖で大地震」と出た、これだ! 直ぐに通信長とキャプテンに報告した、あの時間にこの海域で大地震があったようです、、デリックがハッチの上にでも落ちたような大反響音だったが貴重な経験だった。
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ボトルシップ佐賀関入港中にボトルシップを作る材料を買い込んできた。今はキットや作り方も「You Yube」などで簡単に手に入る時代で通販などでも販売されているが瓶を切って帆船などを入れて接着したのが多い。本船での先生は操舵手のTさんだ、入れる瓶はジョニーウオーカーの空瓶が作り易く初心者用にベストだ、私は船内で飲むウイスキーはもっぱら 「ニッカG&G」だがボトルシップ作りに使うため一番安いジョニ赤(写真下)を3本ほど免税で買いウイスキー党の乗組員と缶ビール3缶と交換し空になったら空瓶だけいただくことにした。ジョニ赤

航海中に帆船の船体だけは暇つぶしに木を削り磨きをかけてペンキで塗装までは終わっている。細かい作業で停泊中の暇つぶしには最高だね、、午前中は無線室で機器の手入れなどで過ごし午後から部屋に閉じこもりガーゼにセメダインを塗り帆船の帆を作ったり、ひごを削りマストを作ったり結構やることがある。子供のころから手先が器用な方だったんだが、専用に作った器具などを使い瓶の中での細かい作業は結構、時間と神経を使うね、、、
一つ作ってみると大体の要領が解り二つ目からはだんだんと綺麗にできるようになってきた。
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佐賀関丸本船に乗船して2航海目も順調な航海を続けてフランス領のニューカレドニアの首都ヌーメアに間もなく入港だ。サンゴ礁の島に灯台がぽっかりと浮かんでいる感じだ(写真)、港内に入ると白い大きな帆船が着岸している、双眼鏡で見ると、おー日本丸(旧航海訓練所)じゃないかね、、本船は港内にアンカー(錨)を降ろし間もなく官憲が乗船してきて入港手続きが行われ30分くらいで終わった、ニッケル鉱の日本への輸出の半分以上を当社の社船が運んでいるので官憲なども顔なじみだ。今航の積み地は本島の東側で間もなく積み地に向け出港するとの事だ、従って今回はヌーメアに上陸できない、残念!清峰丸 006

この航路は日本の銚子無線局/JCSと長崎無線局/JOS、Noumea Radio/FJPと通信する。上司の通信長は仕事には非常に厳しい人で随分と鍛えられているね、、有難いことだ。当時はパソコンなんて無い、タイプライターでカーボン紙をいれて入港書類などを作成するが最後の方で一字くらいの打ち間違いがあると、あちゃー!😫 内緒で解らないように綺麗に砂消しゴムで消して打ち直すんだがバレてしまい、赤色鉛筆でピッと線を引かれて、やり直しだよ、今からそんな癖をつけちゃいかんよ!とやられる。
夕方には積み地の沖合に到着しサンゴ礁のパッセージからサンゴ礁内に入りアンカーを降ろし間もなくニッケル鉱を積んだバージがタグボートに曳かれて本船横に到着して荷役が始まった、、、
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日本鉱業佐賀関精錬所佐賀関の旧日本鉱業佐賀関精錬所の専用岸壁に3晩停泊し4日目の早朝06:30出港スタンバイの船内放送があった。訪船していた家族は下船し代理店がクリアランス(出港許可書)を持ってきて本船サイドには2隻のタグボートも待期している。タラップが揚げられホーサー(係船ロープ)が外されタグボートがエンジンの唸りをあげて本船を岸壁から引き離している、本船のエンジンも動き始めた、、、間もなく2隻のタグボートも汽笛を鳴らして本船を離れて行く、あの名物煙突とも1か月のお別れだなー、(写真)豊予海峡を通り間もなく水の子島灯台が見えてきた、いよいよ日本ともお別れだ、
停泊中は夜になると連日タクシーを飛ばして飲みに出かけ連日の午前様、航海中の暇なときに予定しているボトルシップを作る材料を買い込んだり、散髪に行ったり、航海中の酒のおつまみの買い込みなど結構忙しかったね、、夜中の零時に当直が終わるとさすがに疲れと寝不足で風呂に入りビールを1缶飲み干してベッドに入りバタンキュー、、、😁😁
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佐賀関丸(小)34日ぶりに日本に帰ってきた、午後2時ころに旧日本鉱業(現JX金属)佐賀関精錬所の専用岸壁に着岸予定だ。いつもは10時過ぎまで寝ているんだが本船では初めての日本入港でさすがに興奮して8時には目が覚め、さっそく着替えてブリッジ(船橋)へ行ってみる。豊後水道に浮かぶ水ノ子島灯台が見えている、日本に帰ってきたなー!左舷には九州の島影が、右舷には四国の島影がうっすらと見えている。昼食を食べて無線室へ今航海最後の当直に、ポールドを覗くと佐賀関精錬所の名物の煙突が見えてきた、銚子無線局/JCS, 長崎無線局/JOS、 大分無線局/JIT、にTRを入れる、「サガノセキマル、NW QTP サガノセキ」各海岸局より、「JKST DE JCS NW NIL TU、」これで出港するまで無線局は閉局だ。本船の横に2隻のタグボートも並走し30分ほどで精錬所の専用岸壁に着岸した、直ぐに代理店、官憲が乗船してきて入港手続きが始まる。1時間ほどで入港手続きが終わると交代する乗組員や家族などが乗船してきたりで船内は目が回る忙しさだ。荷役作業も始まった、本社から送られてきた荷物の整理、代理店から届いた荷物の整理やらで忙しいね、、、夕食を食べてシャワーを浴びて、さー、久しぶりに一杯飲みに行くかね、
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日正丸
日本の佐賀関を出港して1か月が過ぎた、司厨部5人と無線部2人でお金を出して日本でいろいろな週刊誌などを買い込み7人で回して読んだ週刊誌も往航で読み切り、暇つぶしに2回目も読みつぶしもう読むものが無くなったね、、日本で積み込んだ娯楽用のビデオテープ(主にテレビの録画)5本も見てしまい、いよいよ暇になってきた。夕食が終わって他の乗組員のマージャンを覗き見したり部屋に戻り(写真)気が向くと日記を書く、また時々短パンになりデッキを1~2周して汗をかきシャワーを浴びて8時からワッチだ。船内時間の零時にワッチが終わりシャワーを浴びてデッキに出てみると360度どちらを向いても満天の星だ、部屋に戻りスナック佐賀関丸の開店。アルコール類は全て免税で市販の半値くらいだね、パントリーの冷蔵庫で冷やした缶ビールを飲み干し、愛用のニッカG&Gのロックをチビチビやる、おつまみは玉ねぎを薄く切って熱湯をかけマヨネーズをかけた即席のオニオンスライスと缶詰が多いがこの頃になると日本で仕入れたつまみ類は品薄になるね。缶詰は保存がきくので主にサバの水煮、サバの味噌煮、サンマのかば焼き、シャケ缶、カツオのフレーク、チーズなど大量に仕入れる。1時半から2時ころには”スナック佐賀関”の閉店でベッドに入り9~10時ころまで爆睡だ、、、😍😒
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救命艇グアム島のはるか西方海上を日本の佐賀関、旧日本鉱業佐賀関精錬所に向け航行中だが、海上は少し白波が立つ程度で快適な航海だ。11時30分から昼食でサロン食堂に行く、午後からワッチ(当直)のセコンドオフィサー(2等航海士)、セコンドエンジニアー(2等機関士)と三人で昼食だ。食事が終わり部屋に戻るとボーイさんが部屋掃除をしてくれてベッドも綺麗になっている、感謝だね。無線室え行き通信長と交代する、ワッチの終わったクオーターマスター(総舵手)がヌーンポジションのノートを持ってきて、次席さん、たぶん今日は遭難訓練があると思うよ!との事。今のキャプテン(船長)は予告なしにいきなり遭難訓練をするので有名だ。銚子無線局/JCS,長崎無線局/JOSの一括呼び出し、天気図の受信が終わりコーヒーを入れて一息入れていると、ジジジジー、、、船内の非常ベルがけたたましく鳴り響き、遭難訓練、全員直ちに右舷ボートデッキに集まれー!キャプテンの声が響く、きたきた、、私はストアーから救命艇用の非常用無線機を出して持っていく、通信長は重要書類を持ってボートデッキに走る、当時の救命艇用の無線機は重たくて持って歩くのがやっとだ、、乗組員がボートデッキに集まってくる、救命艇が海面まで降ろされて動作を確認し訓練は終了した。短波の長いアンテナを伸ばし、ハンドルを回して発電するわけだが時化の救命艇の中でこんなことが出来るかね??
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清峰丸 006私は航海中は朝食は食べないで寝ている、本船に乗船する前に乗船した北米航路の材木専用船は冬の時期で日本の港を出港してからアメリカに着くまで時化にやられ、ひどい時は食事を作るのが危険で手抜きのオニギリ🍙の日もあったが、この航路は台風にでも遭遇しなければ大きな時化はないが冬の日本近海ではかなりの時化に遭う。船内では毎日の食事が楽しみでもある、時々だが洋食のフルコースの日がある、スープから最後にデザートまで出るが分厚いビフテキは最高だね、😁 昨日本船は赤道を通過した、そろそろ交代電報がくるころだがなー?今航は佐賀関で6人の乗組員が交代の予定だが我が事務部はChief Steward(司厨長)が交代予定なんだが、、午後のワッチの時に銚子無線局/JCSの一括呼び出しで本船のコールがあった、んッ、来たなー??この航路は日本との時差も少なく通信が比較的に楽だね、さっそく12MhzでJCSをコールすると一発で応答がある、QTC2 ときた、電報が2通あるようだ。受信すると1通はやはり交代電報だ、私は乗船したばかりだし10ケ月くらい乗船し来年の5月頃に休暇下船でもするかなーと思っている、3か月近く休めるだろうから夏はどうやって過ごそうかね??佐賀関に着いたら次航からのボトルシップ作りの材料を買おうと思っている、、、
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佐賀関丸
ニューカレドニアからニッケル鉱を満載して日本に向け航行中の佐賀関丸/JKST(12,093総トン)は順調な航海を続け第2次世界大戦の激戦地、ガダルカナル島、ブーゲンビル島などがあるソロモン諸島の西方海上を進み夜にパプアニューギニアのニューブリテン島沖を通過した。海軍航空隊で有名なラバウルがある島だ、船内時間の零時にワッチ(当直)が終わりボートデッキに出ると左舷にニューブリテン島の灯台の明かりが見えている、島の北部にラバウルが有るはずだがね、沢山の人が犠牲になっている海域だ、そっと手を合わせ黙とうした。さーらーばラバウルよーまた来るまでーわー、、、ラバウル小唄を口ずさむ、潮風に吹かれ寒くなってきた、部屋に帰りシャワーを浴びてバスタオルを腰に巻き又デッキに出ると心地よいエンジンの音が聞こえ空を見上げれば水平線から360度の満天の星に南十字星も綺麗だね、海上でないと見れない光景だ、朝には赤道を通過だな。さー部屋に戻り一杯やるか!今日のおつまみはサバの水煮の缶詰と6Pチーズだ。免税の缶ビールを1缶飲み干し愛用のニッカG&Gのロックを2杯飲みベッドに入り本を読んでいるといつのまにか寝ている、
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